フェリーボートの中で

メッシーナのフェリーには売店があったが食堂はなかった。(かつては
あったそうだが。)私はラザーニャ入りのアランチーニをデッキの椅子に座って食べた。海は青いし、快晴だった。なんて素敵な航海だろう。
食後甲板をぶらついているうち舳先近くまで甲板を歩いていったら、操舵室のドアが開いていた。中を見ると、船長さん、船員さん、オレンジ色の救命胴衣をつけた救命員の女性達が手招きするではないか。そこで
私はあつかましくも「入っていいか?」と聞いた。
どうぞ、どうぞと歓待してくれ、私のことを「マスター、マスター」と呼ぶ。
人懐こいイタリア人気質。しばし、気を抜ける一時だったのか一緒に写真をというと気軽に応じてくれた。
東京湾も浦賀水道を過ぎると水が青く、綺麗になってくるが、メッシーナの海の色の方がより青く、深いような気がする。お〜、これぞグラン・ブル-!!上記の女性救命員は船から落ちた人を救う仕事をしているという。
対岸には30分でつく。船員達がサービス精神を発揮してくれたのは一瞬の間だった。メッシーナは流れが速く、航行する船も多くて気が抜けない海峡だ。真剣な働きぶりを見てると彼らの危機感が伝わってくる。
レッジオから水中翼船でカターニャへ帰るつもりだと話したら、交代要員がわざわざ船から電話をかけて出発時刻を聞いてくれた。本当に親切な人々だった。(だからイタリア人って好き。)

メッシーナ海峡の船もレッジオからの船もイタリア国鉄(民営化したが)が運航している。聞いてもらって助かった。その日は日曜なのでカターニャ行きは欠航で、メッシーナ行きの水中翼船しかなかったからだ。
メッシーナの対岸のvilla san giovanni(聖ヨハネの別荘という意味の町)はゴミが散乱し、落書きが多い汚くて何もない町だった。日曜日なので鈍行の本数が少なくて(ユーロスターに乗るには近すぎた。)二時間もの待ち時間を潰すのに苦労した。左は人気のないゴーカート乗り場。髭の兄ちゃんが遊んでいかないかと声をかけてきた。まさか!!公園の前にあるのに子供の影もまばらだった。 次へ  戻る  トップ頁へ