カルチャーショック-建具編-@イタリア式引き戸



私の住んだ部屋は二階で、ツィンの部屋が二つと私の泊まったシングルの部屋が一つあり、私の部屋はトイレつきの浴槽に隣り合っていた。問題は各部屋を仕切る間仕切りがお粗末な引き戸だったことだ。後に旅したローマのホテルも引き戸だったがタオルミナのそれは引き戸というより板でできたカーテンといった風情で、押したり引くたびに壁にぶつかる。浴室の引き戸は便器を隠す役もかねていたからトイレを使用するたびしめなければならないが、きちんと閉めないと傾斜がついているせいか用足しをしている間にするするとあいてしまう。

それで私は自分の部屋に入るつど引き戸をきちんとしめていたら、ある日、隣に泊まっていたスイスの銀行員(ミス)に苦情をいわれてしまった。私が引き戸を閉めるたびに目がさめてしまうと。気がつかぬ事とはいえ申し訳ないことをしたというわけでそれ以降引き戸と壁の間にタオルを挟んで引き戸が壁にぶつからぬようにしたが、隙間から部屋の中がみえ、干している洗濯物が丸見えだといって笑う人もいた。(彼女はその光景がなんだか可愛いといって笑ったので悪い気はしなかったが。)                                    

カルチャー・ショック-トイレ編

ホームスティのメンバーは週単位で変わった。通っていたイタリア語学校には最短一週間というコースから長期にわたるコースまでいろいろのコースがあるからだ。この時期は既に降り始めた雪をのがれてレジャーかたがたタオルミナで過ごす学生が多いため、比較的短期滞在の学生が多く、一週目にいた同宿者は二週目にはすべていなくなり、スェーデンからのおばあちゃん(といっても74歳)とスイスの好奇心旺盛なガブリエラという小学校の美術の先生がやってきた。                                                 

そのスェーデンばあちゃんが月曜日の朝、私に文句をいうではないか。いわく「今朝トイレに紙が沢山詰まっていた。水が流れなくなったらどうするのだ!」「えっ!私は詰まるほど紙を流してないよ。」とわたし。「だってアンジェラ(大家さんの奥さん)がそういったぞ。あんたに相違ないと」と彼女。なるほど私は彼女達より紙を沢山使うかもしれない。というのは、私の自宅のトイレはいわゆるウォッシュレットなので、お水で清拭する習慣があるから。(詳細は省略する。浴室にはビデもあったが共用のビデを使う気にはならなかった。)                                    
後でアンジェラに聞いて分かったのだが、アンジェラは彼女らに「トイレ紙は便器の側のゴミ入れに入れるようにと説明したそうだ。私はついた夜すぐ自室に入ってねてしまったからいいそびれたらしい。」彼女の話では便器が詰まると大騒動になるので、朝、紙が浮いている時には手袋はめて便器の中の紙を取り除いているそうだ!

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