寝耳に水の噴火騒動

1)機中で
 
時差ぼけ防止のために夜行便に乗ったのだから寝ようと思ったが、座席が狭くてよく寝られない。無理して寝る事もないと思い、いつものようにトイレや水分の補給にたったついでに機中をぶらぶら歩いたり、飛行機の後部でストレッチング。座席では4種類のヴェネツィア・カードのどれを買うべきか検討。(ベネツィア・カードとは、ベネツィア観光を目的に作られたカード)今度のようにヴェネツィアに5泊の予定だと、ヴァポレットに乗るたび切符を買うのは面倒だから、このカードをかった方がいいとは思うが、乗船券だけのもの、見所の入館料込みのもののどちらを買うか考えあぐねた。

2)何でポーランドへ向かわないの?
 
そんなわけで映画も見ず、寝てもいられず、なが〜いながい飛行にたえていたが、欧州大陸上空に入 った後で飛行状況を表すモニター画面に異変を感じた。この飛行機はポーランド上空から 南下してパリ・ドゴール空港へ向かう予定だったのにパリより東南の方角へ向かっていたのだ。暫くして日本人 のツァーコンダクターが「アイスランドの火山が爆発して、その噴煙のためドゴール空港が閉鎖されてし まったのでこの飛行機はリヨン空港に向かうことになった。リヨン到着次第ニース行きの便に乗り換え るので早めの降機準備をお願いします。」と言っていた。え〜っ!じゃ私たちもリヨンへおろされるって こと?

                   
                  
リヨンからベネツィアへ飛ぶときに入手した新聞の写真

3)リヨンからベネツィアへ
 
 飛行機はリヨン空港へ着き、私たちもそこで下ろされてしまった。空港内はすごい混雑。私たちは知らなかったのだが欧州中緯度以北の主だった空港はこの噴火騒動で全て閉鎖されてしまっていた。おまけにフランス東南部ではこの日鉄道がストをストを決行していた。空港の係りに尋ねると「パリ以遠にいくためにはパリまでバスで行け。」という。何時間かかるかと問えば「5時間あれば行くだろう。」ここまではイタリア語でとれた情報。

  
早朝リヨン空港に着く        リヨン サンテクジュベリ空港    ストライキ中のTGV

  
私たちは結局バスでパリへ行くという選択をしなかった。パリへ行く道は大混雑するだろうし、たどり着いてもベネツィアまでの便が飛ぶ保証はない。ベネツィアへの行程の大半はもうこなしていたのだからパリ発ベネツィア便をキャンセルしてもリヨンからベネツィアへ飛ぶ方が断然有利だ。ただ問題はこのベネツィア便の航空券が入手できるかどうかだ。(空港には既にキャンセル待ちの長い行列ができていたから。)フランス国鉄が動き出すまで下手したら野宿することになるかと思った。
 
 くたびれ果てた私たちにテレビ局のレポーターがインタビューに来た。リヨンに着いたのがこれから明るくなる時間帯だったのはラッキーだった。夜にこんな混乱にまきこまれたら恐怖感がいっそう募ったと思う。

旅は道連れ、世は情け
先のエールフランス機には10人くらいの日本人団体旅行客二組の他ベネツィアに行く新婚さんが一 組いた。それを思い出した私は人影もまばらになった(大半はバスで目的地に向かった。)空港の中で彼らの姿を探した。彼らは個人旅行だけれども旅行社を経由して旅の手配をしていたので携帯電話で日本の旅行社に指示を仰ぐことができ、その指示でベネツィア行きの便のキャンセル待ち行列にすばやく並んでいた。

結果として最終的にはキャンセルがでたのか私たち四人はベネツィア便に乗ることができた。何と言  う幸運だろう。(ベネツィア空港もその後1週間閉鎖されたのだから極め付きの幸運を手にしたわけだ。空港の係員の言うとおりにパリに向かっていれば、ベネツィアにはいけず、パリで来る日も来る日も空港で閉鎖が解かれるのをむなしく待つことになったのだから。)

  *
フランスではイタリア語が通じない。
  ベネツィア便に乗れたのは、長男の英語聞き取り能力のおかげだった。フランスではあるレベル以上の人でないとイタリア語が通じないみたいだ。(判ってても知らぬ振りをした可能性もある。少なくとも顧客誘導係りは理解して対応してくれたのだから。)

                     ヴェネツイアへ