さよなら、ブダペシュト(アルプスをこえてミラノへ)

ついにブダペシュトを去る日が来た。
私は朝4時半に飛び起きて、自由橋のたもとの市場に行った。
寝ていたいという夫を部屋に残して。

ドナウは朝霧の中に輝いていた。町はすっかりめざめていて
朝の光の中、職場へむかう人々が足早に歩いていた。

(写真がないのがとても残念)

八時までに帰らないと、ブダペシュト・カードの期限がきれるので
こころせく感じ。

ブダペシュト市場

ジョルナイ焼きの美しい建物。これが市場だなんて。
この前の電停に今日も品のいいおばあさんが野の花を束ねた花束、3束と
恐らくは仕入れたと思われる美しい白バラの花束を二束売っていた。
このおばあさんは物売りになれていないようで、声をかけるでもなく、ただ
にこにこしながら少し恥ずかしそうな様子で立っていた。
(ソルジェニーツィンの「癌病棟」に出てくる品のいい掃除のおばさんの
話を思い出してしまった。)

買ってあげればと昨日も思ったけど、すぐ発たねばならないし、結局
かわずに通り過ぎてしまった。引きだしの中の余った100フォリントを
見るたびにきっと彼女のことを思い出すだろう。私たちが去っても、次の
お客が喜んだだろうにホントにけちな女だ、私は。

市場はとても衛生的でにおいもしない。生鮮の店の3分の1くらい
があいていた。一階と二階を観察したが残念なことにお土産や
さんは全てしまっていて、早い店でも開店は8時だった。

まぁ、いいや。主目的はトカイ・ワインの試飲だから。

だがほとんどのバールはしまっており、一軒だけあいていた
バールで飲む。店員は「朝っぱらから中年女が1人でワイン
(?)」といぶかっている様子だが気にしないでぐいぐい呑む。

思ったよりも甘くない。上善如水とはこのことか。
適度に冷えていてとてもおいしかった。
100ccはあったかな。全部一気飲みして酔っ払って
電車にはねられてもまずい・・
と思ったが、居直って呑む。(要はいやしいだけ)

そんなわけでハンガリー土産は空港のno taxの店で買った
トカイアス一本だけ。

*貴腐ワインとして有名なトカイワインの最高級品・トカイ・アス
 を帰国後飲んだ。梅酒に似た味。梅酒は砂糖をいれてあの味
 になる。砂糖なしであそこまで甘い味のワインができるなんて
 驚く。いつぞや飲んだシチリアのマルサラ酒もああいう感じだった。

空港のno taxの店はてんで商売気がなくて、刺繍入りの
ブラウスを買い損ねた。

空港ではスイス・アーミー・ナイフを手荷物にいれていたので
(常日頃携帯しているので癖がでた。)あっという間に
とりあげられ、情け容赦もなくゴミ箱にほうりこまれた。
(アリタリアなら別便というか機長預かりで運んでくれたの
だけど・・・)

飛行機から見た、ドナウ川の中洲・マルギット島

ブダペシュト総括

この世界には三つの真珠があるといわれているそうな。海の真珠・ヴェネツィア、
陸の真珠・フィレンツェ、そしてブダペシュトは河の真珠と呼ばれている。

ブダペシュトの特徴は親水的な町だということではないだろうか(?)
すべての建物とか記念碑が河を望む形で作られている。
ドナウなくしてブダペシュトの美は語れない。
実にフォトジェニックな町だ。
 

参考資料-3/3

ブダペシュト3泊4日諸費用

 両替(30,000円→  53,370 フォリント

 ブダペシュトカード           4,700フォリント
 エアポートミニバス往復乗車券   3,900フォリント
 夕食(ホテルテラスレストラン)     3,840フォリント(2名)
 〃チップ                      200フォリント(2名)
5月28日 枕銭                   200フォリント
 トイレチップ(ゲッレールト丘)            20フォリント
 王宮ケーブルカー乗車券        650フォリント
 ミネラルウォーター(王宮売店)    200フォリント
 国立美術館入場料          1,200フォリント
 昼食(ボートレストラン)          4,560フォリント(2名)
 〃チップ                      400フォリント
 ドナウ川遊覧船乗船料        2,750フォリント
 ゲッレールト温泉入場料       2,200フォリント
 ミネラルウォーター(ドナウ川辺売店)   300フォリント
 夕食(シェスタ)                4,920(2名)
 〃チップ                        400(2名)
 ホテル・セキュリティデポジット・チップ   200フォリント
5月29日 枕銭                     200(2名)
 ミネラルウォーター(アクインクム近傍BAR)250フォリント
 アクインクム・パンフレット               400フォリント
 西洋美術館入場料             400フォリント
 西洋美術館パンフレット                750フォリント
 昼食(西洋美術館BAR)           1,290(2名)

 両替(バーツィ通り両替店) 10,000円→  14,857フォリント

 夕食(Tranny Pince)             6,600フォリント(2名)
 〃チップ                        600フォリント(2名)
5月30日 枕銭                     200フォリント(2名)
 (市場)                  400フォリント トカイ・ワイン 
 (インターネットカフェ)          400フォリント 30分
 トカイワイン(空港DutyFreeShop)   9,500フォリント

*レストランはカードで払いました。カードを使うほうが両替率が
 いいです。ワインとガッサータ、前菜と他1品の値段です。
 それ以上は食べられませんから。(残さず食べた結果が
 彼らのビア樽のようなおなかです。)

*美術館や遊覧船の料金はブダペシュト・カードで割引かれた
 料金ですが、先に述べた理由でブダペシュト・カード購入は
 おすすめできません。

*枕銭は日本人だけの風習だそうですが、私がいくら言っても
 夫は必ずこれをおきます。けちで言っているのではないのに・・・

二人で日本円にして40,000円使いました。あまった9500フォリント
でトカイアスを1本、これが唯一のお土産。

*その他に100フォリント余りました。

* 犬を連れてジグムンド・モーリッツ広場のビルの角に座っていた
 中年というほどでもない物乞いの人に100フォリント。
 彼が物乞いだと分かったのはそこを三度目に通りすぎた時。
 お金をいれるための小さなプラスティックの箱をみたから。
 
 一旦通り過ぎた後、引き返して犬をみるふりをしてお金を
 そのお豆腐の容器のような箱に入れたとき、彼は(足が悪い
 ようでした。)立ち上がって、目を合わせ感激したような様子で
 何か私に話しかけました。あの時ほど言葉がわからぬことを
 残念に思ったことはありません。

 アルプス越え

アルプスを越えるときはいつも心が踊ります。
私はカエサルでもなければナポレオンでもないけれど。

なんなんだろう、このわくわく感は。

小型機で飛んだのでジェットより低空飛行をした。アルプスにすむ人々の
生活がわかるほど景色が間近に見えました。

ミラノへ続く