07/04/15 カゼルタの王宮と庭園

人間の記憶(というか、私の記憶)のいい加減なことには呆れてしまう。次回に書く理由で折角撮影した600枚をこす写真をカメラご と盗まれてしまったので、思い出すよすががなくて困ってます。で、簡単に感想を述べると、カゼルタの王宮は、先ず、大きい、豪華、かつ美しい。部屋の数が 1200あるというが、その一つ、一つが大きくて、しかも天井がものすごく高い。(いくら西洋人が背が高いといっても、あそこまで天井を高くする必要があ るのか?とにかくあれを建築するために莫大な、気の遠くなるようなお金が必要だったのは確かだろう。)                                

王様の寝室、ホール、謁見室、専用図書館、食堂、どれも贅を尽くしている。中にナポリ名物のプレゼピオを展示している部屋があった。それはそれは大きくて、見事なものだった。写真を撮ろうと後ろに下がったら、別のプレゼピオにあたって、アラームがブーブー鳴り出して、とまらなくなった。冷や汗〜〜。あんなにでかいものもっていけないのに。泥棒する人もいるのかしら。まぁ一体で数万円するそうだし、今は職人が減って希少価値が高くなっているそうだが。                                

王宮を駆け足でみて、庭園に出た。(私の旅はいつも駆け足。見所が多すぎるからなんだけど。)なんとこの庭園が途方も無く広くて、舟遊びをしたという人造の川が王 宮から水源の滝のふもとまで3kmほど掘られている。正直言って私はカゼルタのこと、何も調べないで行った。(フランスの王家がナポリを支配していた頃 作った宮殿だということくらいしか知らなかった。)だが、夫は、某国営放送の「世界遺産シリーズ」でカゼルタの特集をみていたので、「水源の滝まで徒歩で 往復するのは大変だから片道だけでもミニバスに乗る?」という。広大な宮殿を見て回って少々くたびれていた私は渡りに船とその提案にのる。                                     

ところが                                          

バス乗り場とか切符の買い方を調べて、乗ろうとしたらバスは出てしまった。あ〜あ。当分来ないみたいだから仕方ない、歩こうとしたら、4人のりの馬車がパ カパカとやってくる。好天の日曜日、絶好の稼ぎ時とて、次々に客を積んでは走り去っていく。運賃は一人10ユーロ。                                    

「二人で20ユーロか、バスだと6ユーロなのに。」と連れ合いは思案中。「けちっても昨日みたいにお財布ごと盗まれたらなんにもならないじゃない。またとないチャ ンスだから乗ろう、乗ろう。」と私。(昨日のadvantageをまだ悪用している感じ。)                        

目一杯稼ぎたい御者は飛ばすわ、飛ばすわ。相乗りしtた女性二人がイタリア人だったので、飛ばしながらしゃべり続けるのだがイタリア語がわからなそうにみ えた我々には、まれにしか話しかけない。(話しかけられても分からなかっただろう、ひどいナポリ方言だったから。)                                            

川の水源まで行くと思って乗ったのに、馬車は途中で川を離れ、林の中へ。いったいどこへ行くのだろうと心配していたら、「これがヴェルサイユ宮殿の次に大 きな庭園だ。いいだろ?」とか何とか言いながら庭園の林を経巡って王宮の前についた。そこは馬車の出発点だった。                                           
「なんだ。川の始点には行かないのか。あそこに古代ローマの水道橋を模した見事な建造物があるのに。」とご機嫌斜めのソクラでス。しかも御者の後ろの席に 座らされたので乗客のうちでもっとも座高が高い(足も)彼はとても窮屈な思いをしたそうだ。御者がガイドをするために後ろを振り向くつど頭を下げねばなら なかったから。       

カゼルタの庭園の売りは、かの人造川と滝にあるのだから彼のお怒りもごもっともである。あれは一種の詐欺だねぇ。いくら稼ぎ時といったって、御者は客の回 転をよくすることしか考えないんだから。かぼちゃに戻ってしまったシンデレラの馬車に乗りたがった私もおろかでしたが馬車にのって庭園を散策するというス ノブな経験、一度くらいはしてみたかった。あんな汚い木製の馬車じゃね・・・ま、馬は馬だからいいとしょう。                                             
結局、状況は振り出しに戻り、川の始点まで歩いていくことになったが、途中に彫刻のある池や橋があり、魚も沢山泳いでいて、退屈はしない。暑ければ川の両 側に並木があり、木陰をあるくこともできる。途中のトイレの汚さには恐れいりましたが。                                                                                                   
                                    
川の水源には美しい彫刻の群像があり、その先は山の斜面を利用した幅の広い、長い滝になっている。この滝のわき道を登っていくと庭園を一望できるらしい が、私たちはお売店でパニーニと飲み物を買って食べた後併設のイギリス庭園に行った。この人造滝ははるかかなたの山奥から水を引いているそうだ。私的な遊 興のためにこれだけの大工事をするなんて、王制が廃止されてもしょうがないかなぁ・・・・・でもその王様の贅沢が有力な観光資源になっているのだから世の中分からぬものだ。                                                  


人造の川の水源にある彫刻群
中央の彫刻は鹿の頭部を持つ人間。猟犬たちに襲われている場面
右側が山の斜面を利用して作られた人造の滝
ここから宮殿にむかって3kmの人造川が作られている。

帰りは、国鉄で帰った。夕食はホテルお勧めの「千の酒蔵」。ガリバルディ広場に面した小さな店だがおいしかったけど、客が多いせいか頼んだものがスムーズに来ない。テラスで食べてたらだんだん寒く なった。ナポリって暑いイメージがあるけど夜になると寒い。小雨も降ったし。風は吹くし。                             

あ、そうそう、お昼の売店で買ったパニーノ。なんでこんなものが5ユーロもするのや?薄いチーズが一枚しか入ってないパンだった。あれは食事に命かけているナポリのものとは思えない。ナポリの恥である。王宮の入り口から遠からぬところに売店とバールがあるそうだけど、遠すぎるので選択の余地がなくお昼はそれですませたけど。                            
確かに、カゼルタは魅力的だ。ナポリ観光にはずせない場所だ。だが、そのぼったくり精神には恐れ入る。見所が沢山あるので、観光客の全てが一見さんで終わ るわけではないのだからもう少し誠実な商売ができないものかしらん。                 
カゼルタの詳しい案内 と写真はこちらのサイトで

07/04/16 ナポリ市中見学へ続く