2007/04/10 アルベロ・ベッロからブリンディシへ

昨日念のため確認しておいた国鉄の外れホームで私鉄のSud- est線の切符を買い、アルベロ・ベッロ行きの列車にのる。通勤・通学に利用されているのか、かなりの人が乗っている。座席に残されていた新聞を読んだ り、窓の外の景色をみているうちにアルベロ・ベッロへついた。かなりの客がおりた。

駅から町までの通りは坂道で、観光客目当てか少し危ない感じの女性が立っている店もある。坂道の終点の右側には教会があり、左に行くと第二次大戦のパルチ ザンの記念碑や、菩提樹を陸屋根のような形に刈り込んだ小さな公園があった。



その近くからトウルリ群をみる。なるほど変わってはいるな。
でも観光地として指定された地域を歩き出すとちょっとウンザリした。外見はともかく、全ての家がみやげ物やさんなのである。

中には「うちのお酒は日本のアンアンという雑誌で紹介されたのよ。」とか言ってそのページをみせる売手もいる。あちこちで「いらっしゃい」と叫ぶし。まる で江ノ島の弁天通を歩いている感じだ。

アルベロ・ベッロのトルリはもともとは南イタリアの貧しさの象徴で、イタリアでホームレスを意味するところの「屋根なし」がすむところなのだ。削った石を 器用に重ねることで屋根にして(正式の家とはみなされない。バラック扱いだ。)雨露をしのいでいる、元来は家畜小屋扱いの家なのだ。(税金逃れのために建 てる人もいたらしいが)

トルリ自体はプーリア州のあちこちでみられる。母屋に付属する家畜小屋とか農具入れの小屋として。でもアルベロ・ベッロのそれは狭い地域に密集していると ころが売りなのだ。だが中へ入れば往年の暮らしをうかがわせるものなど何もない。


トウルッリのテラス

さてここで午後一杯をつぶすことができるか?何をして?

アルベロベッロのサイト

とりあえず、黄金のトルリというレストランで昼食をとる。
この地方の名物はソラマメ料理だがあいにくその季節ではない。例のごとく、ワインとミネラルウオーター、前菜、パン、プリモを食べたらもうおなかが一杯に なってしまった。
プリモすら残してしまったが、絶妙な味のソースがおいしくて、イタリア人は料理の天才だなと思ってしまった。前菜はトマトとモツアレラ。(このトマトがま だ青いのに実に美味で信じられない思いでした。)

親切な駅員へ出会い、ブリンディシへ

駅に着き、これからどうしょうかと思っていたらSud-est線の路線図があった。何回か乗り換えれば昨日行きたかったブリンディシへ行くことができそう だ。路線図と時刻表を変わるがわるみて、念のために「ここからブリンディシへいけますか?」と駅員に尋ねたらメガネをかけてスマートな中年の駅員さんが 12時、13時、15時台の列車と乗換駅を抜書きしてくれた。昨日の国鉄のおっさんとは大違いである。私は思わずgrazie mille(1000のありがとうという意味)の代わりにgrazie millione(100万のありがとうという意味)と言ってしまった。

ブリンディシへの旅程

アルベロベッロ→マルティナ・フランカ→フランカヴィッラ→ブリンディシ

最後の乗換駅フランカ・ヴィッラまではSud-Est線に乗っていく。
フランカ・ヴィッラからブリンディシまでは国鉄

ただ、このフランカ・ヴィッラでは冷や汗をかいた。アルベロベッロで買った切符は国鉄では使えない。チケット売り場へ急いだが売り場には誰もいない。切羽 詰って一人だけで駅にいた綺麗な少女に「ここはフランカヴイッラの国鉄駅ですよね。ここは切符売り場ですよね。」と聞いたら、「そうです。駅はここだけで す。」という。

乗り換え時間が4分しかないのがわかっていたので切符を買わずに急遽ホームに戻るとすでに列車は入っていた。お世辞にも綺麗とはいえない列車だった。中で 車掌さんにわけを話して切符をうってもらう。彼曰く「イタリアでは乗る前に切符を買わにゃならんのよ。」「知ってるが買う時間がなかった。」とこたえて勘 弁してもらった。

あぁ、ブリンディシ

私がなぜブリンデイシに行きたかったかというと、そこが古代ローマのアッピア街道の終点で、ギリシア航路の出発点である、ということのほかに、ブリンディ シのホームページを見ると、なかなか素敵な町に思えたからだった。

しかし、アッピア街道の終点を表す古代の列柱は周囲をアクリルガラスで囲まれ、そのガラスは落書きで汚されていた。バカンスシーズンではないので港も閑散 としており
海を見ながら、ジェラートを食べ、たわわに実ったオレンジをみながら「誰がとって食べてもいいのか知らん?」と話しながら帰途についた。



鉄子さん

そんなわけで熱望していたブリンディシへのたびは期待はずれに終わりましたが、帰りの列車は快適でした。イタリアの国鉄には新旧まちまちの列車が走ってい るがブリンディシからの列車は新しく、綺麗で快適だった。いわゆるレジョナーレ(州内列車-普通列車)なのに飛ばすわ、飛ばすわ。窓のかなたにはアドリア 海が見える。行けども行けどもオリーブの林が続く。私はこの路線が気に入りました。なんか心が弾みます。そう、明るくておおらかな感じ。これぞイタリ ア!!って感じがします。こんなにぶっ飛ばせるなら私だって運転手になって、毎日この路線をいききしたいなと。

(ただし、バリ駅に近づくほど速度は落ちました。イタリア方式だと直前まで入線ホームが決まらないためだと思います。)



ブリンディシ駅の地下通路
4月なのに皮のコートをきた人が多い。
朝晩と日中の気温差が大きいからだそうだが



バリ近くの駅で
南は貧しい、といわれるがウサギ小屋
にすんでる人なんかいないんじゃないか?

ブリンディシの紹介サイトはこちらです

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