NO. 20   カターニャ その1
 
トラーパニで3泊した後、バスでシチリア第二の街カターニャへ向かっ た。
トラーパニからカターニャへ行くには、パレルモで乗り換え、
約5時間かかる。
 
朝9時のターミナル発パレルモ行きのバスは、トラーパニの街の中の
いくつもの停留所に停まり、乗ってくる人はほとんどが、パレルモへ仕 事で
行くような感じだった。

やはり、トラーパニまで観光で来る人は少ないのか、私の横に座ってき た女性は
私の顔を見るとびっくりして、
 "イタリア人か??" と聞いてきた。
日本人で、観光に来たことを告げると、
 トラパニではどこを観たか? 
 結婚してるのか?
 飛行機で帰るのか?
と根掘り葉掘り聞いてくる。
 
その時、私の携帯電話が鳴り、出るとVITOからだった。
イタリア語で話したとたんに、バスの中の人達は急に静かになり、
私のイタリア語に耳を傾けているのがわかった。
下手くそなイタリア語を聞かれてはまずいと思った私は、
小さい声で別れを告げ、又来るねぇ、と言って携帯を切ったら、
バスの乗客達は、
 "ブラバーー" と言って拍手をしてくれた。
 
疲れ果てていた私は、パレルモまで眠りたかったのに、隣の女性は
何度もひじで私をつついて、又質問攻めにあった。
 "子供はいるのか?"
  "飛行機は何時間かかるのか?
 "日本は今は冬でしょう?"
と、この調子でパレルモまでは眠れなかったが、乗り換えてからの
カターニャまでは眠ることが出来た。
 
カターニャでの二泊は街の中心のホテルを予約しておいた。
トラーパニでの共同トイレに、かなりのストレスがあったので、
少々高くても、最後はホテルにしたかったのだ。
 
どうも私は普通の人とは逆で、若い頃は三ツ星以上のホテルに
泊まっていたのに、年を取るにつれ、バックパッカー的になっていく。
 
ホテルにチェックインして、あまりの疲れで、VITOからもらったワ インを飲み、
2時間ほど眠った。
やはり自室にトイレがあるという安心感だけで、狭い部屋でもよく眠れ た。
 
夕方から街へ出た。
カターニャは8年前に1泊しただけで、その後はいつも空港を利用する だけで
ゆっくり街を散策する機会がなかった。
8年前は冬だったせいか、なんかうっとおしい街だと思っていたのが、
パレルモよりもきれいで、明るく、又1693年の大地震の後に建てら れた
素晴らしいバロック建築にあふれてい る。



カタ-ニャの大聖堂
(黒い部分はエトナの噴火で流れ出した溶岩で出来ている。)

カターニャ大好きになった。
 
夕食は、街の中のトラットリアで、まだ食べていないシチリア料理を注 文した。
のんびりとワインを飲んでると、斜め向かいに座っていた60代の男性 が、
自分の残りのワインを持って
 "いいですかあぁぁ?"
と言いながら私の前に座った。

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