トラ-パニ その1 (マッタンツァ)

翌日シャッカから10時過ぎのバスで、シチリア西の海沿いの街
トラーパニへ向かった。
 
昨夜、日本でチェックしておいた、旧 市街地のB&Bへ電話をしたが、
3連泊は無理とのことで、仕方なく新 市街地のB&Bを予約した。
 
バスを降りてからB&Bに電話をした が、
"5分で来られるよ"
といわれるだけで、どっちの方向かも 解らず、その辺にいる人に
通りの名前を言っても知らないと言わ れ、
やみくもにウロウロしていたら、親切 な女性が車に乗せてくれ、
住所のメモを見て、連れてくれた。
 
シチリアではいつも、こういう風に 困っていると、親切な人達が
救いの手を差し伸べてくれる。
だから、シチリア大好き!
 
案内された部屋は広く て、南と東に窓があり風通しがいい。



でも、バスルームが共同で、私の部屋 の他に3部屋もある。
4部屋でバスルームが一つ!!
しまった!!! なんてB&Bに来て しまったんだ!
 
結局4部屋のうち、一人使用は2部 屋。
あとは、4人家族と老夫婦の2部屋。
家族連れの子供は、パンを便器に捨て たりと行儀が悪い。
ペーパーは、なくなってもそのまま、 洗面所は汚し放題。
 
ここでの3泊は、バスルームが空いて いるか、汚れてないか、
と一日中、私のストレスになってい た。
 
まずこの街の大通りにある旅行代理店 へ向かった。
まだまだ旅を続けるつもりだったが、 我が家の様子がどうにも
心配で(NO.17 参照) 帰国を 早めようと思っていたのだ。
ここトラーパニに3泊し、そして食材 の買い物にカターニャに2泊と
そして、日本へ帰る。それしかない!
 
代理店のカウンターに座ってる3人 は、私に
"どうしてそんなに、急いで帰るの? せっかくのシチリアだから、
 あそこも、ここも行けばいいの にぃぃ・・"
と、おせっかいを言ってくる。仕方な く私は、
"日本にいる私の猫が病気なの"
と言うと、
"まあ、、、猫ちゃんの為に帰るの? なんて幸せな猫なの?
 私も猫になりたいわ!!"
と、いつものシチリア風会話になり、 時間がかかったが、帰国日の
変更が出来た。
そして、日本へ電話をして、帰国日を 伝えた。
 
トラーパニでの第一の目的は、マッタ ンツァというマグロ漁を見る事。
これは、トラーパニの近くのファヴィ ニャーナ島で行われている
迫力で有名な伝統的なマグロの追い込 み漁。
 
近くのバールで、"明日、マッタン ツァを見に、ファヴィニャーナへ行くんだ"
と言うと、
"昔は頻繁にあったけど、今は年に4 回くらいしかしてないよ〜、
 日本人がマグロを買い過ぎるもんだ からねえ・・・
 そう、簡単には見られないよ!"
と、言われた。
 
そして、翌朝早めに起きて、港まで歩 いて行き、ファヴィニャーナ島まで船で渡った。
島へ着くと、漁師のおじさん達の
"マッタンツァ、マッタンツァ!!" と言う大きな声。
 
昨日、そう簡単には見られないよ、と 聞いていたのであきらめていたが・・・・
どうも、今日あるらしい・・・ラッ キー!!!
 
漁師さんにお金を払い、小さい船で沖 へ出て、大きな船に乗り換える。

      

その小さな船の中でも、近頃マグロは 小さいのしか獲れない。
大きいのは日本人が買いすぎ た・・・・と耳に入ってくる。
 
大きい船でも、イタリア人達は、この 頃はマグロの数が減って・・
日本人が全て買ってしまう・・・と聞 こえてくる。
あたりを見渡しても、アジア系は私一 人で、みんなが私を見ているように
思えて来る。
あちこちから、日本人が・・日本人 が・・・と聞こえてくる。
そのたびに私は
"すみませんねえぇぇぇ" と謝ってばかりいた。
 
そして、沖の方から、沢山の漁師の大 きな掛け声とともに、網が近づいてくる。
急に、魚の臭いがし、目の前で大きな マグロが飛び跳ねている。

猟師たちは、銛でマグロをさして、引き上げて行く。

            

その時も隣にいたイタリア人は、
"小さい、小さい、昔はもっと大き かったのに、
 日本人が全部持っていったから"
と、私に話しかけて、又私は
"すみませんねえぇぇぇ" と謝った。
 
漁が終わってから、我々見物人が島に 戻れるのには相当時間がかかった。
お腹がペコペコになっていたので、閉 まりかけのレストランへ滑り込んだ。
食べていると、レストランのオーナー から呼ばれた。
"こっちへおいで!!"  とキッチンへ誘ってくれた。
さっき、マッタンツァで獲れたマグロ の一匹が、もうここへ届いている。
"今日は83匹獲れたんだ"と、オー ナーは写真を撮れと、このポーズ。 

             
そして、私に
"昔はもっと大きいのが獲れたの に・・"
そして、私は
"すみませんねえぇぇぇ・・・日本人 のせいでしょ?"
と、言われる前に謝った。