SCIACCA その1.
シチリアの南の海岸沿いに、シャッカという街がある。
まさに、シチリア海峡の向かい側がアフリ
カ。(下の地図の赤い部分)
何年も前から、このシャッカがすごく気になっていた。
海に向かって、急激に落ち込む斜面に出来た街は、
写真を見ると、古いイタリア映画の舞台になってる様な気もしていた。
シチリアで一番大きな温泉もあるし、漁港
には鰯の加工工場もあり、人々の顔ものんびりとしているし・・・
どうしても行きたくなり、パレルモ最後の夜にシャッカのB&BへTELをして、3泊の予約を入れた。
翌日、パレルモ駅近くのターミナルからバスで2時間。
シラクーサからモデイカへのバスでの失敗を思い出し,朝食は食べず、コーヒーも飲まずにバスに乗った。(NO.9 週末の過ごし方-1参照)
余談だが、イタリアの長距離バスでは、トイレ休憩がほとんどないと聞
く。 3,4時間以内なら、全くないらしい。この事については、シラクーサのNAOKOさんも、"ほんとにイタリア人はトイレに行かないのよ!" と言っていた。
年を重ねる毎に、胃が大きくなり、膀胱の小さくな
る私にはうらやましい限り・・・
バスはシャッカの街に、昼頃に到着した。
降りてすぐに、絶対この街を好きになる!!!と、直感した私でした。
急な斜面にへばり付く古い家並みを背景に、狭いメインストリートは小ぎれいで、道では暇そうな人たちが、おしゃべりをしてるし、目の前に海が広がっている。
早速電話したら、40代の主婦と二人の娘が車で迎えにきてくれた。
B&Bは小さな街の中心部にあ
り、とてもかわいい。
B&B
への階段
家族は郊外に住んでるので、朝食はなしで25ユーロ、やっぱり大きい街と比べると格段に安い。"日本人がうちに来るなんて、びっくりしたよ〜"と、言われた。
このB&Bにはサンルームのような明るくて広いサロンがあ
り、ここで買ってきたパニーニを食べたり、日記をつけたりしてい
た。
このサロンはガラス張りで、海も見えるし、何よりも青い空。
今までに、こんなに青い空を見た事がない!!!
そして、すごい数のツバメが飛び交っている。
(あれから一年経つが、今でもシャッカの青い空だけは、忘れられない。)
ゆっくり昼寝をしてから、ドーモを抜けて下って行くと、海の前の大き
な広場に出た。
散歩や、ベンチに腰をかけておしゃべりをしている老人の多い事!
イタリア人は、若い時は、常に男女のカップルなのに、年をとると、お爺さんは、お爺さんグループ、お婆さんは、お婆さんグループになってしまう。
お婆さんグループは、私を遠目に見ているだけなのに、
お爺さんグループは、最初は、不思議な生物を見るように私を見るが、
そこんとこは積極的で、"あんたは、なにじん?""なんでここに居る
の?"と聞いてくる。
私がイタリア語で自己紹介をすると、"なんてこった!このアジアのシ
ニョーラは、イタリア語を話すぞ!"と、喜んでくれる。
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街のメインストリートを歩いていると、一台の車が止まり、"シニョーラ!!シニョーラ!!" (シニョーラとはご
婦人という意味)と声がかかり、おまけにオヤジが
車から降りて来て、私を呼ぶ。
ナンパしてるのかと思った私は、知らん顔をして、サッサと歩くが追い
かけて来る。
"シニョーラ!待ってぇぇぇ!!"その後、"コンテルーナ!" と叫んでいる。
あっ!コンテルーナってB&Bの名前だと気がついた私は止
まった。
そう、B&Bのご主人だった・・・彼は高校の教師で、私の到
着した時間にはまだ仕事中で、奥さんが迎えにきたらしい。
日本人が来るのは始めてで、昨夜予約した時、娘に地図で日本の場所を
教え、家族で日本の事を話していたと言う。
そして、歩いてる私を見つけ、この人だ!と声をかけたのだ。
ええ年をして、ナンパされると思った私は、穴があったら入りたいほ
ど、恥ずかしかった。