パレルモで・・その1
今回の留学を決めた頃から、学校生活が終
わったら、約一ヶ月シチリアを回ろうと、本やインターネットで調
べ、どこへ行こうかなと考えていた。
シチリアは3回目なので、小さな街や島も
候補にあげていた。
これまでの旅行では、きっちりと計画をた
て、宿泊先も必ず予約をしてから、日本を発ったのに・・・
イタリア語を
学ぶにつれ、変な自信が出てきたのか、行き当たりばったりの旅で
もいいかあ、と思っていた。そして手帳に、色々な街の
B&Bの電話番号だけを控えておいた。
Debora と Goedanaに別れ
を告げて、まず電車でPalermoへ向かった。
昨夜、目星をつけておいたB&B
へ電話をしたが、満室との事で、紹介された他のB&Bに
3泊の予約を入れていた。
Palermoの駅から電話をすると、
Mimmo という60代の巨漢のオーナーが車で迎えに来てくれ
た。案内されたB&Bは、下町にある古い建物の4階部分
の一角で、広く薄暗いサロンと、キッチン。そしてキッチンを挟んで、両側にバスルーム付きのツインルームがある。
私の部屋は右側のツインルームで、ドアの
横に、もう一つドアがある。
"このドアは
何?" と聞くとMimmo は 、"これは僕のシャワールームなんだ。
僕の家は5階
だけど、シャワーだけはここ。"
"????
" と、私。
そして、キッチンの左側の部屋は、今日も明日もあさっても空室と聞い
た。
昔の映画に出てきそうな古い家に、ただ一人。
とにかく気持ちが悪い。怖い。幽霊が出て来ても不思議ではない・・・
B&Bの広いサロンの一角
そして、夜中
に "ガッチャ〜〜ン " と大きな鍵の音。その後、隣のシャワールームから水の音。水の音が止まったと思ったら、次は私の部屋の鍵がガチャガチャ、ギー・・・・・
満面の笑みの
Mimmo が部屋に片足を入れ、"シニョーラ!パレルモ
はいかがですか?"
うっそやろーーーーー!!!!
私は、目玉が飛び出すほど驚いたけど、そ
こは大人、落ち着いたフリをして、
"Mimmo ,
パレルモは素晴らしい街です。又明日お話しましょう
おやすみなさい。"と言って、5階へ戻ってもらった。
全くなんてB&Bなんだ!!
眠れなくなっ
た私は、サロンに置いてある上等そうなワインをその夜、一本飲ん
でやった!!!
次の日、
Mimmoには怖い顔をして、きっぱりと、"私の部屋には、入ら
ないで!"と言った。
翌日は一日中Palermoの街を歩き回
り、8年前にも見たカテドラルやプレトーリア広場等をもう一度見
て、有名なバッラッロ市場へ行った。
屋台でB級グルメを楽しみ、魚屋や八百屋のおっちゃんとおしゃべりをしたり。
八百屋さんの店頭:長いのはズッキーニ
魚屋:
頭と尻尾を糸で引っ張って、生きの良さを強調。
8年前は冬に来たからか、全然雰囲気が違
う。今は、人々の顔も野菜達も魚達も、活気に溢れている。ニコニコしている。
これからシチリアへ行かれる方は、絶対5月〜10月にして下さ
いね。
せっかくの旅行の値打ちが、全然違いますのでね。
そして、その夜は幽霊もMimmoも出てこなかった。
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