●夜明けのカッサータを探して

今回のシチリア旅行で、ぜひとも行きたかったのがbar alba。(alba=夜明け)
カッサータはアラビア語のクァサド=ひっくり返すという意味の製法と、
pan di spagna=スペインのパン=スポンジの材料を用い、シチリア産の
沢山の果実を詰め込んだお菓子である。
製法、生地、材料からしてinternazionaleなお菓子。
(見方を変えれば蹂躪の歴史の象徴のようなお菓子である。)

貧しさ故にシチリアを後にした人々は、このお菓子に自己のアイデンティティを
見出す。
カッサータは地元でも贈り物に使われるが、その際には美しくデコレートする。
(喧嘩を売るときは別。)

bar albaではinternetで、このお菓子を販売しているが、
デコレートしたものは現地でしか食べられない。
(品質保証の関係)

実に甘いお菓子で、私は一切れの半分しか食べられませんでした。
甘いだろうと予想していたマルトラーナのお菓子の方が
和菓子の白あんのような、ほのかな甘さでおいしかったです。

ところで、このalba。事前に番地をさがしておいたが、ホテルのコンシェルジェに相談すると、
「遠いからタクシーでないと」とか「私に任せればいいように取り計らってあげるから。」というばかり。
結局町のinformazioneで聞いて、バスを乗り継いでたどり着いた。

その間、informazioneの青年の発音を矯正してあげたり、スリ君に出会ったり、
大きなごみ箱が風に倒れたとたん、大音量で警戒音を発するのをみたりした。

●パレルモ・三つの顔

パレルモと聞くと、平均的日本人が真っ先に思い出すのが、マフィア=危ない町というイメージだろう。
(残念ながらこれが第一の顔。でもこれはイメージ上の顔で、具体的な形ではない。)

実際のパレルモ、それもbar albaのあるあたりは、高級住宅街で、とても瀟洒なところだ。
しかもイタリアの他の町と異なる雰囲気が漂う。南国風の並木が続き、空はあくまでも明るい。
(時間があったら植物園に行くと良いと思う。)

パレルモ第三の顔(これが本来の第一の顔だが)は東西文明の交差点だったころの顔。
しかし、この旧市街は自動車の排気ガスで真っ黒けになっており、スラム化してしまっているが、
各時代の名残をとどめた個性的な建物がおおい。

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