私はその時、ベーコンをいためていたのです。うーん、やっぱりな。彼女らは矢張り
基本的に肉(とチーズ)を主食とする人種だもんね。(ちなみに私はコレステロールが
こわくて豚肉はモモ肉とかヒレしか食べません。)だから、ベーコンは彼女の滞在中
その日だけしか使わなかったのですが、この朝のことを思うたび、もう少し脂の多い料
理をつくってあげれば良かったと反省してます。(なおイタリア料理は健康にいいといわれて
いますが、あれは魚や麺類、オリーブ油を多食する南部に限るのではないでしょうか。
なぜならイタリアの死因のトップは心臓病ですから。)
そのベーコンの一件から、香りが食欲に及ぼす影響の大きさをあらためて思い知らされ
ました。納豆も、まず、あの匂いにたえられなかったのが食べられない原因だったようです。
「なんだかだと言っても、イタリア人はオリーブ油なしには生きて行けない人種だ」との噂を
きいたことがあるので、初めての夕食にオリーブ油であげた鯛のマリネを出したら、
「Signora Forseは料理が上手」ということになったみたいですが、お魚がおいしかったので
はなく、(魚の名前を聞いてましたからきっとおいしいと思ってくれたのでしょう。)調理法、
とくにオリーブの香りが良かったのでは?
彼女は朝のトーストにもオリーブを塗ってました。あとエスプレッソにオレンジジュース。
皆、なつかしい香りだったでしょう。わけのわからぬ食事にたえぬくことができたのは、朝の
懐かしい香りのおかげだったかも。
おみそ汁はおいしいと言ってましたが、「お醤油にはなれることができない。」と友人の一人に
言ってたそうですから、私の料理への讃辞も話半分にしておかないと。
私もあちらのお料理を食べるとき、なんだか薬臭い匂いだなと思いながら食べる場合が結構
あるのですが、向こうの人には欠かせない香りなのでしょうね。その香りをかいだだけで食欲
がでるというような。
「日本にいる間はイタリア料理を食べたくない。」という彼女の言葉を信じて、あやしげな
お晩菜をつくり続けた私でしたが、(私はDOC付きの料理下手です。)彼女は何でも
おいしい、おいしいと食べてくれました。(梅干しも変な味だけどおいしいと言ってました。)
彼女が何を食べられ、何を食べられぬかに我が家の全員が興味を
もっていたせいで、カレーライス、かっぱえびせん、おでんなど、皆が色々な食品をかった
り、作ったりしてすすめてました。その有様は魚釣りの餌の研究会みたいだったといったら彼女に
怒られるでしょうね。)