「ホームスティを受け入れて一番困ったことは何?」と聞かれたとき、即座に口をついてでたのは次の言葉でした。
「何の予定も持たずに来日したこと。」
来日間近になって、(この辺が私の間の抜けたところなんですが)「可能ならお弁当を作ってほしいと書いてあるけど学校にでも
行くの?」とメールで問い合わせたら、「学校には行かないが、できたら仕事もしてみたい。イタリア語を使う仕事を。」という返事。
「おいおい、それは余りに楽天的すぎるよ!」と早速メールで返事を出した。
「1,イタリア語を使う仕事は簡単には見つからないと思う。(実際、滞在中何の仕事もできなかったのである。)
2,貴方が来たからと言って、私は私の暮らし方を変えるつもりはない。あなたは普通の日本人の生活を知りたくてくるのだろうから
今までどおりの生活をします。特別サービスなどはしません。」彼女も「それで結構です。」ということで共同生活が始まりました。
ベネちゃんを成田に迎えに行った時、「あぁ、本当に日本へ来られたんだわ。」と喜んでいるのを見たとき、(私も結構 いいことしたみたい)
と内心まんざらでもなかった私ですが、予定無しということは、アドバイザーの役割が重いということでもある。
うー、こりゃ大変!!とんでも無いことになってしまったとあわてても、いまや遅しなのでありました。ちゃん、ちゃん。
閑話休題−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ホームスティと言っても色々なスタイルがあるようで、国費留学生とか、交換留学生の場合は、午前中は学校へ行く。受け入れ家庭にも
ガイダンスをする場合が多いようです。ボランティアの性格が強いので、文化の違いを理解させるために、家族ぐるみで名所旧跡に連れて
行ったり。必要な生活費をもらう場合(早稲田大学が募集していたホームスティ受けいれの条件では月額6万円でした。)でも、かなりの
持ち出しになるでしょう。滞在が、2,3日とか1週間などの短期滞在の場合とか、交換留学の場合は生活費も持ち出しになるのかな??
(ベネちゃんの場合は、生活費として5万5千円払うと書いていましたが、種々の事情から、滞在期間中の費用総額として5万5千円を
受け取りました。これは彼女が食べた日の食事材料代だけです。)
日本人が私費で語学留学し、ホームスティするする場合には、ほとんどの家庭が、ビジネスとしてホームスティを受け入れているようです。
ということは、外で食事をしても、おごったりはしない。ましてや、ただでガイドなんかはしないでしょうね。
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私は当初、「リッチ・アンクル・サムにはならないぞ!ありのまま、ありのまま。」と思っていたのですが、「楽しい思い出一杯にして帰す
べきか?日本嫌いになって帰られたら苦労のし甲斐がないし。」と心揺れる日々でした。ソクラでス(注:夫)やジロベェ(注:次男)は
思い出一杯派でした。ジロベェに至っては、「お母さん、毎日放し飼いでいいの?英会話のテレビ番組を見ていると、ホームスティを受
け入れた家庭は文化の違いを理解させるためにあちこち案内して歩くみたいだよ。」と一人で気をもんでおりましたっけ。
彼女の友人が彼女に話したという「楽しかった日本滞在話」、これが私をくるしめたなんて彼女は知らないでしょうね。具体的な内容を
知らないからいっそう気をまわしてしまったのです。期待を裏切りたくはないけどさりとて、私は私、うちの事情にあわせてやるしかない・・・・
最初に「うちはお金持ちではない。しかも私はけちである。」と宣言したので、余りエエカッコシィをしなくてすんだのですが。
ちなみに、ケチというイタリア語の単語はavaro(女性形avara)だそうです。この言葉を先ず最初にしっかり覚えちゃった私です。