6.書評
 

       「ある亡命家族の肖像」・・・・・・・朝日選書488 1925年 フランカ・マニャーニ著、斉藤ゆかり訳
                       ムッソリーニのイタリアを逃れて
                       
                       著者は二度の亡命生活を送っている。一度目はファシズモを逃れて国外へ
                       (マルセーユ、チューリッヒ)

                       そして二度目はスターリン主義を逃れて亡命にも似た孤独な国内生活を余儀なく
                       させられる。

                       これはイタリア人の良心、勇気など見習うべき点を教えてくれる。

      「地獄−それでも私はイタリアを愛する」
             
                       三田出版会、 Giorgio Bocca 著、千種堅 訳

                       北部イタリア人から見た南部イタリアの現状。これを読んで、なおかつ、イタリア、特に
                       南イタリアに住みたいという人がいたら是非お目にかかりたい。
                       どうしょうもないイタリアを書いた本。イタリア人でなければこの本は書けない。
                       
                                                    マフィアがいかに一般人の幸福を犠牲にして繁栄しているか、
                       闇の勢力がどういう方法で権力を握ったか、是正する勢力がいかに無力か。
                        
                       ただし、翻訳はこなれていない。自分が馬鹿なので分からないのではないかと自棄
                                                    的になり、途中でうぶんなげたくなる本。
                                   
       「ダリオ・ポニッスィの「ドクトルダリウス」(CD)                     面白くかつ、為になる、聞き飽きない。(uccelino評)


                     NHKのラジオイタリア語で放送されたものに加筆充実させたもの。

「Il primo Zanichelli(伊伊辞書)39000リラ

                   イタリア語初学者のための伊伊辞書
                    私は現在日伊協会の中級コースに出ていますが語彙をふやすのに大変役立つ。
                    特に先生から同義語を質問されたり、言葉の意味をイタリア語で説明するように
                  言われたとき断然役にたちます。図版も多くて楽しい。
                  ジンガレッリは大きすぎて私にはどうも。ただし、この本は取り寄せになる。

「和伊辞書(携帯版)」イタリア書房 3800円+税

                  イタリア旅行にどうぞ!というキャッチフレーズですが、日本のことをきかれた時に
                  役立つかどうか疑問。軽くて使いやすいとは思います。
                    各語がryokou−biaggioというようにアルファベット順なのは感心しない。ひきにくい。
                  日本人相手なら平かなで、あいうえお順にすべき。

「ミラノ−霧の風景(須賀敦子)」

                     ちょっとイタリア語をかじっただけで「日伊のかけ橋になりたい。」なんて大言壮語している
                  己が恥ずかしい。
                    イタリア人の心の奥底にあるもの(人間の美しさ、哀しさ、雄々しさ等、民族をこえてわかり
                  あえる部分)を描いている。
                    早すぎる晩年には帰国したけれど、彼女はイタリア人だったんだなと思わざるをえない。
                  大事な架け橋をなくしてしまった。

                     (読書後偶然に「没後の殷賑−須賀敦子」という書評をみました。河出書房新社から全集が
                  出て売れに売れているそうです。)

「Acquellero italiano」関連サイトにHP紹介あり、台詞付きカセット・ブック

                    聞きはじめて24月、有線放送と違い、テープ中の言葉が一語残らず活字化されている
                  台詞付き隔月刊行のカセットです。きく力、読む力がつきます。単語力も。
                    人より一歩だけイタリア情報に先んじたい方、一寸だけ深い知識を得たい方、最新音楽を
                  ききたい方にも。

「カルチャー・ショック・イタリア人」 河出書房新社

                                         イタリアに暫時でも住んでみたい人に役立つ。家の借り方など有益情報が一杯。

 「 いいなづけ」                  かの有名なアレッサンドロ・マンゾーニの国民的文学。
                                      外国勢力に分割統治されていたころのイタリア。世俗権力や宗教が人々の日常に
                                      どうかかわっていたか、ペストの惨状、修道院のことなどがわかる。ただ、長いので大変。

 「 誰がムッソリーニを殺したか」 木村祐主

                                       良くアホな日本人がイタリアに行って「イタリアは第二次大戦時同盟国だったよね。
                                       また一緒に戦おうぜ」みたいな発言をしてイタリア人をしらけさせます。ハズカシー。
                                       そんな人、まずこれ読んで!!
                                      イタリア現代史およびイタリア人を理解する重要な資料です。ファシズムの評価は
                                       イタリアでも立場によって別れているみたいですが。ムッソリーニは何と思想的には
                                       無神論者で、社会主義者として出発したようです。

 「 同意語、反語辞典」        ilDizionario dei sinonimi e dei contrari;電子辞書付き(フロッピィがついてます)

本ではありませんが、個人教授の推薦。

                  上記のテープをきいてるうちに、中のカンツォーネの歌詩をどうしてもきちんと知りたくなって
                  (歌詩には暗喩が多いので散文よりも解釈が難しいと思う。)、
                  soniaさんというイタリア人に個人教授を受けています。ほがらかで明瞭な解説をしてくれる
                  良い先生です。

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