2013/05/27  成田〜ヘルシンキ〜リュプリアーナ 



旅の動機

海賊の住処がみたい。ドヴロブニクへ行きたい

私は作家塩野七生さんの愛読者です。彼女のヴェネツィアを舞台にした数々の小説を読んでいると地中海世界の中でも
稀有な存在だったヴェネツィア共和国にみせられてしまいます。蛮族の襲来に怯え、干潟に逃げ込んだ臆病ともいえば
いえなくもない人々が干潟に人工の島を造り、次第に地中海世界に乗り出し、西洋世界の雄となっていくお話は
大変面白く、かつ彼らの合理的な考え方は、知性ある人々にとって暗黒であったといわれる中世のヨーロッパにおいて
輝けるただ一つの星のような存在であったように思われます。

そんな、海上では敵なしのベヴェネツィアを唯一悩ませたのがダルマチア地方に住む海賊たちだったそうで
いつの日にかダルマチア地方を訪れるのが私の長年の夢でした。

しかしこの地方は共産圏に属し、しかも宗教的な原因(オスマン・トルコの分断政策によるイスラム教徒の強制移住)
を主因とする紛争の絶えない地域で、私たちが1999年にイタリアを旅した時にもヴェネツィアには多くの難民たちが流入し、
石の固い歩道の上に膝まづいて物乞いをしていました。

ソ連の崩壊と東欧の民主化が実現するまでは日本人にとって東欧は遠い国であり、解放後のバルカン半島諸国は
社会主義の頸木から解放されてもスロベニア以外の国はいまだに他の西洋先進国並みの発展をとげてはいません。
それ故、個人旅行の難しい地域で、私は何度も個人旅行を計画しながらそれを断念しました。(今回行ってみて、
プリトヴィチェを外せば意外と行けたかもと思ったりはしますが一番の見ものだったコトルにもいけなかったでしょう。)




フインランド航空でリュプリアナへ

バルカン西部を旅する際の第一の難関は航空券取得です。バルカン半島西部には日本からの直行便が
ありません。おまけにヨーロッパのハブ空港からバルカン半島西部に入る飛行機が少ないので価格の安いツァー
で行くと、オーストリアまたはドイツのハブ空港から長距離バスを使って入国しなければならず費やす時間もエネルギーも
莫大なものになります。

フインランド航空またはオーストリア航空をのりついで入国するのが一番楽です。ただ切符が取りにくい。
今回のツァーではヘルシンキ乗換でリュプリアナへ降り、帰りはドヴロブニクから出国し、ヘルシンキ空港で乗り換え
帰国しました。

往時、空港での入国審査が厳重だったため随分時間がかかり、林家鯛平さんによく似た添乗員はあせっていた。
(いい座席を確保するためにはこの関門をなるだけ早く通過する必要がある。Fin airでは団体旅行の添乗員が団体客の
座席を一括でとることができないそうです。)

(以降添乗員さんのことをタイヘイ君と記します。)

飛行機ファンの我が家の二男の説明によるとフインランド航空は無事故の歴史を誇り
この年が開業50周年であったためスチュワデスも当時の制服をきているそうですが
なんだかダサイデザインでペンギンみたいだなと思いました。機内食はタイヘイ君が
いうほどまずくなかったです。