会話の流れの中で、一語でぴたっとキメ打ちできる言葉がイタリア語には結構多い。
列車が定刻通り、発車するかどうか駅員に聞くと「マガーリ(magari)」と返事がある。
この場合、「うん、定刻通り発車するといいんだが、多分無理かもしれないね」と
いう長い意味が込められている。「今度の土曜日は休みを取れる?」と聞かれたら
マガーリ!と答える。「いや、もちろん取りたいのだが、仕事がいっぱいあるし、
ちょっと無理かなあ」、英語でこれに匹敵する言葉はないが、maybe
+ I hopeを
組み合わせた表現だろうか。
Boh? という言葉は小学館「伊和辞典」には出ていないが、日常会話でよく
使われる。相手の質問に対して、どう返事してよいか屈した時に出る言葉で、
「私は知らない」「そんなこと俺に聞くなよ!」「返答したくないね」
「どっちでもいいじゃん」と状況によって使い分けるが、なかなか便利な
言葉だと思う。発音もボッ!と短く言ったりボーッ?と伸ばす場合もある。
小泉首相が靖国神社参拝に行くのかどうか「Si
o no?」と問い詰められた時に、
もし彼がイタリア人だったら絶対「ボウ!」と言ったに違いない。
Grazie,
Pregoも「ありがとう」「どうぞ」と辞書に出ているが、なかなか使いで
のある言葉で、イタリアで生活していれば1日のうちで最も頻繁に使う。
Barでコーヒーを頼む時、イタリア語会話の本ではVoglio
un caffe. とか
Un
caffe per favore.とあり、もちろんまちがいではなく、実際に使われて
いるが、Caffe
grazie.Caffe prego.(コーヒーお願いね!)、もっとシンプルに
ただUn
caffe!と一言で注文するひとが圧倒的に多い。日本でも同じですよね。
電話でぼそぼそ喋っていると、相手にPrego?と大きな声で言われる場合がある
が、「小さな声で聞こえないよ、もっと大きな声でもう一度言ってくれないか?」
となる。喧嘩をしていて、相手に「もう一度言ってみい!」これもPREGOで
しょうね。これは尻上がりに後ろにイントネーションがきて、ゆっくりと腹の
底から音声を発する。
Mava?マバ?= ホントにまじかよ?(多分、ミラノだけの方言だと思う)
Vabe
!バベ! = それでいいよ。OK
! (Va
bene を短縮したカタチ)
Chie? キエ?=誰あれ?(見知らぬ訪問者とか電話への問いかけ、正式にはChi
e?).
Come
no!, Perche no! だめと言うわけないじゃない。→ もちろんOK。
これらも非常に短く、0.1秒くらいの瞬間に発する言葉であるが、音の強弱、
イントネーションで感情を込めることができ、幅のある使い方ができる。
そのニュアンスが理解できるようになるとイタリア瞬間語のキャッチボール
も楽しい。