バール文化

ミラノには5000軒のバールがあるという、イタリア人にとってバールは

seconda casa(第二の家)でありpunto di incontro(出会いの場所)でもある。

イギリスのパブと似ているところがあり、そこでは友人との情報交換のため、

恋人と出会い、コーヒーを楽しみ、昼食を取り、帰宅の前にアペリティーボを飲む

場所でもある。
 

Barの朝は早い、7時頃には開いているところもある。朝食を家で

取らない人の朝食はバールでカプッチーノにブリオッシュが定番です。

ブリオッシュはイタリア風クロワッサンでチョコレート、生クリーム、杏ジャム

などが入っている。サラリーマンは事務所の近くにmio bar(行き付けのバール)

があり、朝は同僚とここで朝食を取りながら情報交換し、さらに午前中に1回、

午後に2回程度はコーヒーブレイクにやってくる。
 

但し日本の喫茶店のように長時間いるわけでなく、平均滞在時間は5分くらい

だろうランチもここで済ます場合がある。パニーノ(Panino)というサンドイッチ

でハムとか野菜をはさんだイタリア風サンドイッチがお昼頃にはカウンターに

山積みされる。ピアットウニコ(Piatto unico)という一皿セットになった昼食を供

するところもある。どういうわけかバールは必ず路面店で2階とか地下にはない。
 

カウンター(banco)があり、その中にはコーヒー職人(barista)がおりコーヒー

を作ってくれる。背後の棚にはワイン、カンパリ、アマレット、ウイスキーや

カクテルの材料アルコール類がならんでおり、パスティチェリア(ケーキ屋)

とかタバッキ(タバコ屋)が併設されているバールもよくある。その他、

ジェラッテリア(アイスクリーム屋)、エノテカ(ワイン屋)、トトカルチョの

受け付けするバールもある。田舎に行くとバールのスペースも広く、ビリヤード

、カードゲームのテーブルがあり、年金生活者とか老人が集まる情報交換の

場所になっている。
 

コーヒーを飲む場所としてカフェテリアもあるが、これは椅子席が主体で

長時間いられる、値段も高い、日本の喫茶店の感覚の場所である。
 

バールと言えばコーヒーですが、日本のようにコーヒーの味で勝負をしている

バールは少なく、自家焙煎とか自家ブレンドをしているところはほとんどない。

イッリ、ラヴァッザとかセガフレドの大手コーヒー製造元が自社ブレンドした

ものをバールに卸しているが、各社とも自信のあるブレンド1種類に絞って

いる。大手コーヒーメーカー、イッリ社の会長エルネスト・イッリ氏によると

イッリ社のブレンドは1種類だけで、世界中どこで飲んでも同じ味でなければ

ならないと言っている。これはイタリア人の自信の表れともとれるし傲慢さ

ともとれる。従ってどこのバールで飲んでもコーヒーの味に当たりはずれ

はなく、一定の水準を保ったおいしさで安心できる。(23/Nov/2000戻る