究極のお金持ち

イタリアも欧州の他の国と同じようにクラス社会で貧富の差が激しい。社長の

給料は新人社員の初任給の100倍以上で、おまけにあらゆる手段を使って

節税(脱税?)している。“国滅びて民栄える”正に日本と逆の社会だ。

 私の知っているアパレル会社の某社長は奥さんが有名デザイナーで、本人は

髪結いの亭主をやっている。大邸宅と別荘がありフェラーリF40を運転し、

週末は毎週(毎月ではない)アフリカへサファリに行く。そのため金曜日には

アポイントが取れない。

 

イタリア人のお金持ちはどんな生活をしているのだろう。イタリア人との雑談の

中で聞いた話なので真偽のほどはわからないが、大体以下のようだ。

 

まず、仕事をしている人は、いくら大会社の社長であれ除外される。先の

アパレル会社社長は真の金持ちではないことになる。事業を起こし莫大な利益を

あげれば、会社を売り払って引退する。この引退は早ければ早いほどよしとする。

それと代々の資産家で遺産を引き継ぎ職業に就かない人、日本は儒教の国である

から仕事を持たない人を社会的に認めない傾向がある。イタリアでは労働は神に

に与えられた罰である。

 

資産はスイスの銀行もしくはマン島などのタックスヘブンの口座に預け、

管財人が管理する。そのアガリで生活をしている。仕事につかず、誘拐事件を

避けるためにも目立たずに暮らすから、マスコミには出ない。住居はミラノなら

限りなくドオモにに近いアパートのテラスハウス。ドオモの屋根に上がって

見渡すといくつかそれらしい住居があることが確認できる。

 

リゾートハウスは南仏ならニース、モナコ、サントロペ、スイスなら冬の

サンモリッツ、イタリアリビエラならポルトフィーノ、サルディニア島の

コスタスメラルド。イタリア人が定義するお金持ちはヨットを所有していること。

ヨットといってもセイリングボートではなく、乗組員が10人はいる外洋大型

クルーザーで、世界中を航海できる。ポルトフィーノなんかにはこのような

クルーザーが碇泊している。後部にヘリコプターや小型自動車まで積んでいるし、

プールがついている大きな船もある。これで冬はオーストラリア、夏はノルウエー

など世界中を旅する。

 

ポルトフィーノは小さな港だが、このような富豪相手に

エルメス、シャネル、アルマーニと全ての有名ブランドブティックがそろっている。

買い物する店、レストラン、ホテルは決まっているから、現金もカードさえも

持たない、後で請求書が届く。ゴールドカードとかプラチナカードを自慢している

ようではまだまだ貧乏人なんだろう。毎日が日曜日でカジノか旅行、パーティ何ら

生産的な活動はせず、ひたすら消費のみ。しかしイタリア人に言わせればこんな

金持ちでも足元におよばないのがアラブの金持ちだと言っていた。(11Nov2000)

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