燃える郵便

うわさ通り、イタリアの郵便事情はひどいものだった。ミラノ市内で投函した

市内宛ての手紙が翌日配達で着く事はありえない。平均4〜5日はかかる。

ローマからだと一週間はみておく必要がある。日本からの航空便も同じくらい

で、時々日本からの郵便の方が早い場合がある。要するにめちゃくちゃ。特に

12月はクリスマスカードとストライキの時期が重なってしまって、毎年郵便物

が超滞貨、ある年などどうしても処理ができず何トンもあるクリスマスカードを

焼却処分したと新聞に出ていた。

 

郵便の山を前にして郵便局長が、腕組みして

「うーん、これを配達するには来年の夏までかかる、そんじゃ燃やしてしまおう

か」と考えたに違いない。日本では時々アルバイトの配達員が配達しきれず内緒

で燃やしてしまったと新聞に出ることがあるが、これを堂々とやってしまう

ところが何ともイタリア的ですごい。

 

イタリア国内郵便事情はかくのごとくで

あるが、日本などへ確実に手紙を出す方法として、ミラノ在の日本人はスイスへ

手紙を出しに行く。国境の街、Chiassoに大きなショッピングセンターがあり

その中に郵便局がある。土曜日に行くと同じ考えの日本人が列をなしている。

私書箱を置いている人もいるらしい。ショッピングセンターで新鮮な野菜や

乳製品を買って、ガソリンがイタリア側より安いので満タンにして帰るのが定番

になっている。ミラノ市内より50キロなので便利です。

 

じゃあローマに住んでいる日本人はどうするかというと、何でもバチカン市国へ

出しに行くらしい。でもこんなことをするのは日本人だけで、当のイタリア人は

昔から郵便とはこんなもんだと思っているから不便とも何とも感じないんだろう。

27/Sep/2000戻る