イタリアはスキー天国であることはあまり知られていない。中でもミラノからクルマ
で2時間のチェルビニアが最高のスキー場、有名なマッターホルンが眼前に
せまっています。イタリア側から見るマッターホルンはごつごつした岩肌でスイス側
から見るのっぺりした三角錐ではなく男性的です。ゲレンデは総距離200km
以上、200人乗りのロープウエイで一気に上がると、そこは3400mの頂上で、
スイス側に滑降する人はパスポートを持参して下さいと注意書きがある。
空気が薄いので息が苦しい。初心者コースというのはないが広いゲレンデで
スキーヤーで混まないから、安全に滑れる。リフトも混まないのでどんどん滑って
しまう。滑りまくっているのは日本人くらいで、イタリア人は優雅に日向ぼっこして
いるものが多い。最初からスキーなどせず、日焼けだけを目的に来ている金持ちの
シニョーラもいる。
まあ数から言えば三分の一が滑って、三分の二が山小屋の
オープンテラスなどでゆったりとくつろいでいる。しゃかりきになって滑っているの
は日本人だけ。しかも最近は日本人観光客もちらほら見かけるようになったが、
遠目にもいっぱつで日本人だとわかってしまう。なぜかと言うと、スキーウエアが
派手派手カラフルよく目立つ。それと一日中滑りっぱなし、明らかに異質の存在
です。ここは日本じゃないのだからひとつ優雅にやろうじゃありませんか。
チェルビニアに飽きたら、そこから一時間もかからずフランス国境に近い
クールマイヨールでもっとエレガントなスキーを楽しむか、いっそのこと、トリノ
をつき切ってフランス側に入れば、超有名なグルーノーブル、ブリアンソンと
そこら中広大なスキー場が目白押し。もっとハードなスキーをやりたい人は
コルティナダンペッジョという手もあります。お金があり過ぎて困っている人には
サンモリッツへでも行ってもらいましょう。その場合は一日に滑るのはせいぜい
一時間、あとはゆったりとゲレンデのホテルテラスでコーヒーでも飲みながら昼寝
をするのが正解です。もちろん一泊二日なんて野暮な旅程は組まず最低でも一週間
は滞在しないと、ミドルクラスと看破されてしまうでしょう。(27/Sep/2000) 戻る