8月のミラノは死ぬほど退屈

まさか8月のミラノを訪れる人はいないでしょうね。8月のミラノは人口が

         5分の1くらいに減ってしまう。事務所、ショップ、レストラン、映画館、

スーパーマーケット、ガソリンスタンド、ホテルもクローズです。グッチも

プラダのショップも閉店です、と言いたいところだが、最近、間違って8月

にやってくる日本人旅客のためにモンテナポレオーネは開けているショップ

があるそうな。ミラノ人はバカンスを楽しみにリゾートへ、7月と8月の

最終日曜日は大移動のクルマのため、トラック等の商業車は交通規制で走れ

ない、イタリアは仕事よりバカンスが優先事項であることのなによりの

証拠だ。イタリアの小学校、中学校は夏休みがなんと3ヶ月間ある。即ち、

6月中旬〜9月中旬、ミラノのビジネスマンは家族を早々と7月には別荘

に送り出し、自分はミラノで独居生活を強いられる。8月になれば家族と

合流するが、それまでは週末毎に別荘まで往復することになる。

今やこのライフスタイルは定着し、「マリーティ・イン・チッタ(町に残された

夫達)」という連続テレビ番組が放映されたことがある。

イタリアでは中流サラリーマンなら、郊外に別荘を持っているのが至極普通

のライフスタイルだ。さてそういうわけでミラノはぐっと交通量が減って

しまう。あんなに路上にあふれていた違法駐車も見当たらず、道路は2倍の

広さになったようだ。渋滞もない、ところが自動車事故がひんぱんに起こる

ので要注意。原因はクルマが走っていないからビュンビュンとばし、信号を

無視する、それで出会い頭の事故がよくおこる。8月のミラノは生活する

のにも不便だ。哀れな日本企業オフイスは日本に合わせて仕事もないのに

開けていなければならない。イタリア人同僚がいないオフイスで、絶対に

鳴らない電話番をするのは拷問に等しい。お昼を食べる近辺のレストランは

全てクローズ、仕方がないから、クルマに乗って、遠くの中華料理店か

日本レストランへ行くはめになる。どういう訳か中国人はバカンスに行かない

ので8月も中華料理店は開いている。ガソリンスタンドも当番制で市内の

どこか、仕方なく開けている。8月のミラノは空っぽ、残っているのは日本人

と中国人、それと泥棒だけだ。犬や猫も家族といっしょにバカンスにでかける。

ところでバカンス前になると地下鉄の駅などに動物愛護協会にポスターが

貼られる。“バカンス先で、犬や猫のペットを捨てないで!

 (22/Aug/2000戻る