左ハンドル右側通行

注文したクルマが到着したので取りに来いとカーディーラーから電話があった。

発注してから納車まで1ヶ月という約束だったが、既に4ヶ月経っていた。その間に

2回値上がりがあり、その差額も払えと言ってきた。日本なら納期に遅れたら逆に

値引きするのが当たり前だろう、と思いながら、ここはイタリアだあ、、、とぐっと

怒りをこらえ「近くに用事が出来たらついでに取りに行くよ」と平静を装った。

免許の書き換えも結局10ヶ月を要した。まあ有効期間が10年あるので一度

取得すれば、その後の手間は日本よりかからない。実は日本ではペーパードライバー

だったのでイタリアでクルマに乗りたくなかったのが本音である、しかし仕事でも

プライベートでもクルマは必須だった。まず公共交通機関が発達していない、

89年ミラノに来た当時は地下鉄も2ラインしかなかった。国鉄の本数も少ない。

週末はスーパーの買出しのため4人家族分の食品を運ばなければならない。

特にミラノの水道水は飲料に適していないので2リットルのミネラルウオーター

を1ダースは運ばなければならない。それに何と言っても夏のバカンスは

クルマがないとお手上げだ。というわけで新車が来たがこの交通マナーが

めちゃくちゃなイタリアでの運転を考えるとあまり嬉しくなかった。

とにかくイタリア人の同僚に引取を頼んで自宅のガレージまで運んでもらった。

さて日曜日は休息日で、特に朝方は交通がぐっと減るので、この時間を練習

にあてよう。右側通行というのを頭に叩き込んで、いざガレージからクルマを発進

したが、右折するところでウインカーを出したら、いきなりワイパーがフロント

ガラスで動き出す。ワイパーとウインカーが日本車と逆だったのを知らなかった。

こうして私の処女運転はミラノの環状道路(Circonvallazione)を3週することで

終わった。キープライトを守っていればそれほど恐くなくすぐに慣れた。問題は

左折のときに左側に寄っていて、そのまま左側車線を逆行してしまうことだ。

これも前にクルマがいて、交通量が多いときはその後をついて行くのでは問題ない、

一台もクルマがいない場合やってしまうので危ない。一方通行の道路から左折も

危ない。反対車線へ入ってしまう。これも慣れの問題で一週間程度で卒業できる

だろう。この他、日本にはない交通システムのRotonda(ロータリー)があり

逆時計回りで進入しなければならない。ところが英国でドライブしたとき、

間違って逆に入ってしまった経験がある、英国は時計回りなのだ。

ミラノで特に気をつけなければならないことはドロボーで、路上駐車する場合、

車内に何も残してはならない1時間のうちに必ず窓を割られやられてしまう。

もし上着とかバッグなら目的地に到着する前にトランクに入れること。

(目的地に着いてからでは、どこかで見られていて、トランクをこじ開けられる)。

路上で長時間駐車する場合はハンドルに太い鎖をぐるぐる巻きにして南京錠を

掛けてるクルマが多い。

ドイツでレンタカーを借りたら、契約書にイタリアには入国禁止と書いてあった。

(14Sep2000) 戻る