最近エスプレッソ愛好者が増えてきたことは御同慶の至りです。
特にスターバックスがあちらこちらに見られるようになってその傾向は顕著である。
確かにスタバのエスプレッソはおいしい、スタバが日本にエスプレッソを啓蒙して
認知させたと思う。だがそれは別の次元のおいしさでイタリアの本物に近いという
ことではない。本物のエスプレッソはBarで飲むもので、Barの定義はカウンター
(Banco)があり、その向こう側に、コーヒー職人(Barista)がいて、エスプレッソ
マシンがある。最低限この舞台装置がなければBarとは呼べない。
私が偏見と独断で美味と断言する正統エスプレッソは以下の通りです。
まずアラビカ100%の粉、抽出した液体は黒褐色で、若干の縞模様があり上部
はCremoso(クリーム状)であること、このクレマがないものを私はエスプレッソ
と認めない。クレマがあるのは特急(espresso)で抽出した証拠であり、特急でない
ものはもはやエスプレッソとは呼べない。またクレマは濃厚な本体を味わう前の
クッションになるからである。まずはクレマを唇で軽く香りと味をジャブしてから
でないと、いきなりあの濃密、濃厚な液体に接触すればカウンターパンチをくらう。
2段階で味わうこと、これが基本です。液体と言ったが正しくは液汁と呼びたい。
どろっと粉っぽく濃すぎるのもよくない、丁度濃厚ミルクていどの、ほんの少し
ねっとり感がある状態がベストです。これには必ず多めの砂糖を入れる、イタリア
のパック入りの砂糖はおそらく一袋10グラムはあるだろう。イタリア人はこれでも
足らず2袋入れているシニョーラもいる。こうなるとドロドロお汁粉をかき混ぜて
いるようで、これはいくらなんでもやりすぎである。日本も昔は10グラムくらい
の量だったが、いつの間にか3グラム程度の容量になってしまった。
従って日本のシュガーパックなら3袋をぶち込んでいただきたい。朝などタクシー
の運転手がグラッパを入れて飲んでいるが、これはCaffe
Correttoと呼びます。
また温めた牛乳をちょこっとたらしてmacchiato(汚点する?)したものが
カフェマッキャートです。Caffe
con pannaは生クリームを乗せたウインナー
コーヒー風のもの。冷たいエスプレッソはCaffe
freddoと呼びガラスコップに
入れてくれるが、氷は注文しないと入ってない。Caffe
shakeratoは出来立ての
エスプレッソを氷とガムシロップをシェイクしたものでこちらの方がおいしい。
これもサーブされる時は氷はつかない。
容器も重要な要素です。デミタスカップは薄くて軽いものはだめ、ゴロンとした
丸っこく厚みがあり、カップの縁は丸みをおびていること、エスプレッソの濃厚さに
負けない、小さくてもずっしりと重量があるもので持った時のバランスが良好なもの。
カプッチーノは朝食に飲むものです。カプッチーノのミルク泡は砂糖を乗せても
沈まないくらい堅くなければいけません。
さて正統イタリアンカフェをどこで飲むかって?これはイタリアまで行って戴き、
バールで飲むのが正道です。それとも貴方はスタバで我慢しますか?
(10Nov2000) 戻る