テレビの謎

イタリアのテレビは国営で料金を払っているのにコマーシャルをやっている。

視聴料を低く抑えるためにコマーシャルを導入したとの説明だが、日本もNHK

大赤字で視聴料を値上げするならイタリアを見習ってコマーシャルを入れたら

どうだろう。テレビ番組ではいかにもイタリア的と思われるものがいくつかあった。

10年くらい前には「ペッカートおゆき」と言うその頃日本で流行った「おしん」の

パクリドラマがあった。これがヒドイ内容で、現代東京のイタリア大使館が舞台

なのだが、ちょんまげを結ってアルマーニ風スーツを着た外交官とか文金高島田で

着物の合わせが後ろ前の女性が登場したり、中国風の家の玄関には鳥居が立って

いたり国辱ものというより笑える。これと同じ乗りのバリラパスタのコマーシャル

が現在、イタリア国中に放映されている。イタリア人の両親が日本に住んでいる

息子に会いに行く状況設定だが、東京なのに山伏とか寺のような住宅が出てきたり、

息子の日本人嫁の様態にはひっくりかえってしまう。日本に行ったことのない

イタリア人はこれが日本の姿だと信じてしまうだろう。

また「mai dire Banzai !」と言うタイトルで万歳と言ってはいけないよ!

くらいの意味だが、これは昔のタケシ城の番組をそのまま放映して、イタリア人

のキャスターが早口でしゃべりまくり説明をする。そう言えば古い「子連れ狼」

の連続ドラマをやっていた時期もあった。全編イタリア語にふきかえてあるので、

大五郎が萬屋錦之介に「パパア!」と叫んでいた。これも笑えた。

朝の子供向けアニメは90%以上が日本の古いものを輸入して放映している。

アニメの技術に関してイタリアは日本ほど発達していないのだろう。

夜中には延々と通信販売の番組をやっているが、ほとんど絶叫型に近い、

脅迫的しゃべくりで面白い、同じことを何度も繰り返すのでイタリア語の勉強に

なった。アパート管理人のフィリッピン人は会話学校へ行くお金がないので、

語学は全てテレビと辞書一冊だけでマスターしたと言っていたが何年もいる

日本人駐在員よりはるかにうまい。生活を掛けて永住する人間と数年で母国に

帰ることのできる日本人との心構えの違いだろう。イタリアではテレビに限らず、

映画館の外国映画も全てイタリア語にふきかえてある。

その昔はまだ文盲の人が結構いたのでスーパーインポーズを読めない人が

いたなごりだと、あるイタリア人は言っていた。

ところでイタリアのテレビの時報はかなりいいかげんだ。1、2分程度の誤差は

当たり前、番組の始まりも時間通り始まらず大体、ずれる。日本のテレビが一秒

の狂いもなく番組進行しているのを見て、イタリア人ディレクターはきもちが

悪いと言ったとか。イタリアのテレビはストをする、貴方はどういう状態になる

と想像できますか?その日に製作するニュース番組なんかがなく、朝から古い映画

とか漫画を延々と流しているだけ。番組が1、2秒遅れたって人間が死ぬわけでは

なし、テレビストをしても新聞があるのだし、生活に影響はないでしょう?戻る