粋な泥棒

アントニオは家の前にとめた買ったばかりの新車アルファロメオを先週盗まれて

                       しまった。がっくりきて今日も食欲がない。ゆうつな気分で事務所から家に戻ったら、

                       何と盗まれたはずの愛車が門の前にあった。運転席にはバラの花が一輪に手紙が沿えて

                       あった。「私は罪深きことをしてしまいました、お詫びの印しにお受け取り下さい」と

                       オペラのチケットが2枚あった。そしてその夜、彼はドレスアップして妻のソニアを

                       エスコートしてスカラ座の特等席へ。夜も更けて、家に戻ってみると、家の中は空っぽ

                       になっていた。これは色々なバージョンがあるが、ミラノに住んでいると一度は

  聞かされる泥棒物語です。

 
                    イタリアでは泥棒に入られたという話はよく聞きます。アパートは3階以上で、道路に

直接面した建物ではなく、庭で隔てられていること。ドアは鉄板入りで、鍵は3個以上

ついていること、などが家を借りる時注意すべきことです。

夏のバカンスシーズンは泥棒の稼ぎ時です、引越しを装って大型トラックを横付けして

キッチン、照明器具、カーテンまで家中のもの一切合財を盗られてしまった話も聞いた。

台所は蛇口だけが壁から突き出て残されていたそうな。

クルマ、バイク、自転車もよく盗まれる。バイクなど直径30cmもあろうかという

街路樹に太い鎖で繋がれていても、その木をのこぎりで切り倒して持って行く。

70年代は子供の誘拐が流行になり、その名残は今でも残っている。幼稚園、

小学生低学年は必ず親が登校下校に送り迎えしているし、小さな子供が街中で親の

監視なしに遊んでいる風景は一切ない。つくづく日本は世界一治安のよい国であること

を認識させられる。

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