その古い白黒写真を見たのはブレラ通りの古いバールだった。ビートルズの4人が
ドォウモ大聖堂の屋根の上でポーズを取っている。今年はビートルズが解散して
30年だから、多分35年以上前だろう。ドォウモはミラノの中心にそびえる
ゴッシック様式の巨大な建築だ。イタリア広しといえど、教会の屋根の上に上がれる
のはこのミラノのドォウモ以外知らない。晴れた日には北イタリアアルプス山脈が
遠望できる。特に夕方、真っ赤な夕陽が沈む頃が最大の見所だと思う。
ミラノでビートルズは演奏公演をやったのだろうか?イタリアの友人に聞いてみた
がよくわからない。ミラノはファションだけでなく、結構、有名なミュージシャン
がいくつかの名演を残している。チェットベイカーのin
Milanoの演奏CDには彼の
ハスキーボイスが残されているし、ジャズピアノのキースジャレットは5年前に
スカラ座でソロコンサートで絶賛を博した。そのライブCDライナーノーツに
キース自身がこんなエピソードを書いている。
「スカラの演奏が終わった後、楽屋に若者に連れられて、60歳台の老人が訪ねて
きた。てっきり、若者が私のフアンでおじいさんか誰かがついてきのだと思った。
ところがそうではなくて、この老人は25年もスカラ座専属で指揮者の
アシスタントをしてきた人物だった。
彼は、『長年、スカラで数え切れないオペラ、 こんなに感動した音楽は初めてだ』と、 私に、その嬉しさを伝えに 私と妻は彼に感謝し、音楽を通して人を感動させられる