美術館にて
   ヨーロッパの美術館と日本の美術館では展示方法が決定的に違う。

    日 本の場合、 作品はガラスケースの中に厳重に展示されているが、

    ヨーロッパでは作 品は裸のまま 展示されているのがほとんどだ。

    これは芸術に対する道徳文化の相違な のだろうか?

    許可を取ってはいると思われるが、模写をしている学生もいるし、

    スト ロボを使用 しなければ写真撮影も自由なところが多い。

    パリのオランジェリー美術館にある巨大な壁画様のモネの睡蓮も柵も なく、

    手で触ろうと思えばできる。もっとも、いきなり非常ベルの音が鳴りび っくりしたが、

    日本人観光客が至近距離まで近づいたので、赤外線装置が作動した ためで、

    警備員がすっとんできた。
 

    まあ、そういう風に無防備に有名作品が展示 されている が、やはりガラス越しに見るのと

    生のまま直接、鑑賞するのでは絵の具 の質感とか 光の反射ぐあいで全然印象が違う。

    ミラノのブレラ美術館、フィレンツエの ウフィチオ美術館も同様な展示方法である。
 

    そう言えばルーブルのモナリザはガラスのケースに収められていたのは特別な作品だからか。

    館内の照明はなる べく自然光 を取り入れるよう考えられている。

    南仏アンティーブのピカソ美術館などは作品も さることながら、ピカソが戦後一時期愛人と暮らしたお屋敷が

    そのまま 美術館に なっている。

    地中海の太陽と海の色が望める大きな窓はそれ自体が、自 然の作品を 見ているようだ。

    海外旅行をする目的のひとつはこの美術館めぐりだ。 大きな都市には必ずいくつか美術館がある。
 

    特にパリにはたくさんの美術館があるが、一番好きなのはオルセー美術館だ。

    もともと鉄道の駅舎で、アーチ型鉄骨 のホームが大展示場に利用されており、

    ノスタルジックな雰囲気をかも し出して いる。建物自体が美術品となっている。

    もちろん学生時代、教科書で見 た有名な 絵画もいっぱいあるが、アールヌーボ家具のコーナーが特に興味を引く。

    オルセーはルーブルの次くらいに有名な美術館であるが、ルーブル ほどは混んでいないし、

    日本人団体旅行客がいないのがよい。

    ルーブル は一日を 費やしても廻りきれないが、オルセーは半日でゆっくり見学するのに丁度良い展示量である

    ことが気に入っている。疲れたら最上階に行き大時計のある オープンテラスで眼下にセーヌ川、

    その向こうにパリの街並みのパース ペクティブ を堪能できる、素晴らしいカフェテリアがある。

    ここでカフェを飲んで いるとパリ に来たことを再認識できる。
 

    日本に半日、丸一日と過ごせる美術館や博物館はあるのだろうか?

    ミラノの「レオナルドダビンチ博物館」など見るものがたくさんありすぎて何回でも来てしまう。

    それに日曜日は無料だ。                              (10Sep2000)

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