パスポートの盗難
 
日本語にはidentityを一語で表す適訳はない。また日本で生活している限りでは、
 
この言葉を意識することもない。ところが外国に住み始めると、嫌でも考えざるを
 
得なくなる。まず自分が何者か他人に対して証明しなければならない。

           イタリアでも国民、外国人を問わず、IDカードの携帯を義務付けられる。
 

 日本では時には自動車免許証がその代用になることはあってもIDカードそのものではない。
 
 

           イタリア国内のホテルは外国旅行者はパスポート、その他は必ずIDカードの
 

提示をしないと宿泊できない。日本人旅行者がパスポートを盗難された場合は、
 
提示できないからどうするか。まず最寄の警察署に出向き盗難届を出し、ホテル
 
で手渡された臨時IDカードのフォームに証明をもらう。そのフォームをホテルへ
 
持ち帰って初めてチェックインできる。警察署に出頭すれば盗難届を出す人が列
 
をなしているから、まあ半日仕事と思って間違いない。それとは別にパスポート
 
か出国許可の書類を当地の日本大使館もしくは領事館へ出向いて発行して

もらわなくてはならない。その時、自分が何者か証明できないと、パスポートは

再発行されない。私は何県の何市に住んでいる何がしだと100%日本人顔で

完ぺきな日本語で主張しても、それだけで本人とは認めてくれない。当地に

住んでいる、在留届けを出している同胞人に保証人になってもらうか、

いなければ本国照会して結果が届くまで日本人と認定してくれない。
 
 

本国照会はまず日本にいる自宅に連絡がいく、もしその時家族が旅行で不在で

あればお手上げだ、勤務先に照会される場合もあるがとにかくその確認が

取れない限り、その地に滞在しなければならない。日本人旅行客はお金、

航空券、パスポートを大体、いっしょにポシェットとかウエストポーチに入れて

持ち歩いているから、一度に全部やられてしまう。

お金の送金手配、航空券の再発行など、盗難にあった本人はその手続きに

くたくたになってしまう。土曜、日曜がかかるとその分遅くなる。
 
 

まあ取られた時はしかたがないが、少しでもスムースな手続きをするためにも

パスポートのコピー、(旅券番号は暗記しておく)航空券のコピー、お金は

分散所持することぐらいの対策は取っておくべきです。(22/Sep/2000) 

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